平成29年9月27日福井地方裁判所で、敦賀市が津山市らを訴えた訴訟の判決が出ました。市町村の処理責任だけではなく、産業廃棄物の排出事業者責任が認められた重要な裁判例です。
敦賀市にあった管理型最終処分場(キンキクリーン株式会社設置)は、埋立許容量を大幅に超過して、産業廃棄物及び一般廃棄物を受け入れ、同社は措置命令を受けたのちに破産しました。産廃と一廃の割合が8:2であったため、対策費用100億円について、福井県が80億円、敦賀市が20億円を負担する合意が成立しました。そこで、敦賀市が、一廃を搬入した複数の市町村に、対策費用の負担を請求していました。津山市らは、この負担金の支払いを拒否したため、訴訟となったものです。この判決では、市町村は、一廃について支障除去等の包括的措置義務があり、民間の最終処分場に委託した後も免責されないと判断されました。さらに、敦賀市はこの業者に、産廃である下水道汚泥の最終処分を委託していたのですが、敦賀市も産廃の排出事業者として責任を負うと判断されました。また、負担額は、搬入量の重量ベースで、排出事業者及び市町村が按分するとされています。敦賀市は、廃棄物処理法12条7項は努力義務であり、排出事業者は措置命令を受けない限り、原状回復の責任はないと主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。この判決は、排出事業者に、実質的な無過失責任を認めるとともに、排出時期に関係なく、県等が措置を行ってから10年間の時効が適用されることを示しています。法的根拠は、事務管理(民法697条、702条)です。
敦賀市と津山市らの訴訟判決(キンキクリーン事件)
2018年2月13日