廃棄物処理法
2023年03月20日

「専ら物」のなぞ

環境省が令和5年2月3日付けで発出した、「専ら物」に関する通知が波紋を呼んでいます。

 専ら物とは、廃棄物でありながら、一般廃棄物処理業、産業廃棄物処理業の許可なく、収集運搬・処分ができる。しかも再委託も可能という特殊なジャンルの廃棄物です。しかし、専ら物は何か、廃棄物処理業者、運送業者、小売業者など、他の仕事を主に行っている事業者もこの許可不要制度の対象なのか、分からない部分があります。
 専ら物は、条文上明確に定義されていません。環境省は従来の通知で、「古紙、くず鉄(古銅を含む)、あきびん類、古繊維」が対象となるとしています。これに対して、最高裁(昭和56年1月17日決定)は「その性質及び技術水準に照らし再生利用されるのが通常である」廃棄物としています。いわゆる、廃棄物全般の総合判断説よりも、客観説に近い考え方だと思います。技術水準の変化によって対象が拡大する可能性を秘めていますが、当面は古紙などの4品目で運用されるだろうと思います。
 専ら物を無許可で扱うことが出来る事業者は、誰でもよい、という解釈が妥当でしょう。営業の自由は憲法で保障されているため、「専業者」だけに特別に認められる権利というのは想定できないからです。
https://www.env.go.jp/content/000110199.pdf

コラムTOPへ戻る