廃棄物処理法
2022年12月05日

再生原料・再生部品の廃棄物該当性

資源価格の高騰等により、副産物だけではなく市場からの回収品を再生原料として利用する動きが高まっています。

今年は、資源価格の高騰やサプライチェーンの乱れにより、原料・部品不足が発生し、製造事業に支障が生じました。また、プラスチック資源循環促進法への対応、温暖化対策等の観点から再生利用率の向上も重要となっています。そこで、自社だけではなく、グループ会社、サプライチェーン関連会社等から、副産物や販売済品を回収し、再生原料及び再生部品として活用する動きが高まっています。このような取引は無償であることが多いため、輸送及び利用段階で廃棄物該当性が問題となります。
東京高等裁判所平成20年4月24日判決では、有償売却と必ずしもいえない事案の取引価値の判断について、「当該物件の再生利用に関連する一連の経済活動の中で、各事業者にとって、一定の価値があるかどうかという点を、取引価値の判断の一要素として加えることは許されるべきものと考えられる。しかし、このように判断の一要素として加えるとしても、そのためには単に受入業者により再生利用が行われているというだけではなく、その再生利用が製造事業として確立したものであり、継続して行われていて、当該物件がもはやぞんざいに扱われて不法に投棄等がされる危険性がなく、廃棄物処理法の規制を及ぼす必要がないというような場合でなければならない」と判断しています。輸送及び利用にあたっては、品質管理・安全基準の作成と実施などにより、製造事業として安定的な利用を確保すれば、廃棄物に該当しないと判断することが可能でしょう。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=36986

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