廃棄物処理法
2018年01月24日

建設工事の請負契約と処理委託契約の関係

平成22年の法改正により、建設廃棄物は排出事業者は元請業者であるとされました(法第21条の3第1項)。元請・下請間の工事請負契約と廃棄物処理委託契約の関係性には難しい問題が含まれています。

工事自体は元請業者と下請業者の協力・連携によって施工されており、重層の下請契約が締結されています。一方で、廃棄物処理法は再委託を原則的に禁止しているため、廃棄物について元請業者と下請業者が連携することは、違法な再委託とみなされる可能性があります。すなわち、建設業法と廃棄物処理法では、発想が異なるのです。廃棄物処理について、元請は下請けに何を頼んでもよいのでしょうか。たとえば処理業者の斡旋・処理料金の交渉・処理料金の支払い・副産物の売買・マニフェストの交付などを委任してもよいのでしょうか。仮に、下請けとの請負契約の内容が適切でないと判断される場合、請負契約締結自体が廃棄物処理法違反となるのでしょうか。現実には、工事の規模や内容により、元請と下請けとの関係は多様であり、難しい問題をはらんでいます。形式的な委託基準違反あまりに強調することは、現場に応じた契約の柔軟性や適正処理の取り組みにかえって障害となる可能性もあると思います。実質的に適正処理が行われているか、という観点も加えて、契約の適法性を考えるべきではないでしょうか。なお、東京都はこの点について、平成29年3月、下記の見解を示しています。
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/industrial_waste/290317announcement.pdf
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/industrial_waste/280324announcement.pdf
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/industrial_waste/outsourcing_industrial_waste.pdf

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