廃棄物処理法
2017年12月13日

おから事件

おから事件判決
最高裁判所平成11年3月10日第二小法廷決定

おから事件の最高裁決定は、廃棄物に関する判例で最も重要なものです。なぜならば、この決定は、「廃棄物該当性」という廃棄物処理法の根幹に関するものだからです。

この事案は、豆腐製造工場から排出される副産物である「おから」が産業廃棄物であると判断しました。おからは、栄養が豊富で、惣菜としてお店で販売されており、なぜ廃棄物に該当するのか分かりにくいです。しかし、豆腐が大量生産されるようになり、腐敗しやすいという特性、多くの豆腐工場が廃棄物として排出している実態、処理料金が支払われていた、すなわち有償で売却されていなかったことなどから、裁判所は、本件においては廃棄物に該当すると判断したのです。そして、無許可でおからを受け入れていた業者は、産業廃棄物の無許可営業罪に該当するとされました。

この判断基準は、「総合判断説」と呼ばれています。すなわち、客観的要素だけでは判断できない、主観的な要素も含め、複数の要素を組み合わせて総合的に判断するというものです。

 

判旨は以下のとおりです。

「右の産業廃棄物について定めた廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(平成5年政令第385号による改正前のもの)2条4号にいう「不要物」とは、自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である。そして、原判決によれば、おからは、豆腐製造業者によって大量に排出されているが、非常に腐敗しやすく、本件当時、食用などとして有償で取り引きされて利用されるわずかな量を除き、大部分は、無償で牧畜業者等に引き渡され、あるいは、有料で廃棄物処理業者にその処理が委託されており、被告人は、豆腐製造業者から収集、運搬して処分していた本件おからについて処理料金を徴していたというのであるから、本件おからが同号にいう「不要物」に当たり、前記法律二条四項にいう「産業廃棄物」に該当するとした原判断は、正当である。」

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